タイ農場の新しい取り組み
種苗の低価格化に向けて、新たな輸送方法を開発
健全に育ったデンドロビューム苗。タイではジョニ黒の瓶が広く用いられています。
弁当パックに約2~300本の苗が入っています。まずは「挿し木箱」に水苔を敷いて並べ、徐々に植え込んでいきます。種苗の低価格化に向けて、新たな輸送方法を開発 フラスコ苗の輸送を、重いガラス瓶(ウイスキーボトル)に入 つた状態での輸送から、軽いプラスチック容器に移し替えて 輸送する方法に変更しました。これにより、苗で満たされた プラスチック容器を直接重ねて箱詰めし、輸送できるように なりました。ガラス瓶では1本あたり25本前後の苗が入って いましたが、プラスチック容器には200~300本もの苗を 詰めることができ、軽量化に加えて、ガラス瓶破損防止のク ツション材も不要となり、さらに効率的な箱詰めが可能となり ました。苗1本あたりの輸送コストは1/10以下と、大幅に改 善することができました。
挿し木箱に約4パック分の苗を並べた状態です。このままの 状態で1か月以上置いても大丈夫ですム乾燥すれば底面の 水苔を水につけて給水してやれば傷みも殆ど発生しません。効率的な経営に向けてリレー栽培のご提案
タイ農場における培養のようす。現地のベテランスタッフに より、良質な苗の生産が行われています。コチョウランなどでは効率的な経営のために常識となっているリレー栽培。デンドロにおいても経営の合理化を考えた時、 今一度検討してみる必要があるのではないでしょうか。この 厳しい状況下においては、種苗の自家生産による「コストの 節減」もーつの方法ではありますが、発想を転換して、この 手間と時間を「新たな生産性のある、さらに言えば収益性の 高いこと」に振り向けてみられては如何でしょうか。弊園で はリレー栽培に向けて、タイ農場においてフラスコ苗に加え てCP苗、プラグ苗の生産も開始しました。弊園の品種とともに、 皆様方からの委託生産にも対応させていただきます。
プラク苗の植え込みのようす。コストのかかる苗生産の段階は生産コストが安いタイで行うのが最適と言えます。
恵まれた環境のもと、すくすくと育つプラグ苗のようす。
品質向上、安定供給に向けての取り組み
日本から届けられた増殖用の組織が入ったフラスコを前にタイ人マネージャーを通じて培養担当者に指示が伝えられます。フラスコ苗はもとよりCP苗、プラク苗もタイで生産すること により思い切った低価格で提供することができます。CP苗、 プラグ苗の本格生産に着手するとともに、いっそうの品質向 上や生産の効率化にも取り組んでいます。まず、圃場の濯水 設備に紫外線による殺菌装置を導入することで、CP苗やプ ラグ苗の傷みが激減しました。
さらに、苗の輸出準備を終え てから飛行機への積み込みまでのわずかな時間も冷蔵倉庫 に保管することで、輸入後の苗の状態が飛躍的に向上しました。
現地のスタッフの意識改革にも努めており、皆様方のご期待 に応えられる品質を求めて最大限の努力をしています。
生産者ごとの品種の差別化など、 さらなる安定生産に向けて
振とう培養中のフラスコが並ぶようす。日本で選抜された新品種はここで増殖され、世界各国に送り出されます。消費低迷、販売価格下落のもとで少しでも有利に販売してい くためには、消費者の方々に満足いただける品質が最も重 要であるということは申すまでもありませんが、より個性的 でバラエティに富む品種を生産し、品種の更新をはかり、消 費者の購買意欲を喚起していく必要があります。今後はより 多くの品種を紹介させていただくとともに、 それぞれの品種ごとにある程度限られた人数の生産者の方々 だけで安定生産いただくようにしたいと考えています。
ご希 望があれば、ある一品種をその生産者の方の独占品種とし て生産していただくということも検討しています。山本デンドロビューム園タイ農場を生産者の皆様方が利用できる種苗生産の場として経営のお役に立てていただけたらと考えています。
現在弊園からは担当者が1~2ケ月ごとに訪タイし、さらに品質の高いデンドロビューム生産に向けた開発と改善努力を行っています。
ご希望・ご質問などは、担当:山本まで <yamamoto@dendrobium.net>